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を大きく受けず、リスクが少ない。
?設置場所の水深の増大によるコスト増加影響が少ない。
?設置場所を容易に移動可能な為当初のガス田が枯渇した後、別のガス田へ移動して使用することにより新たな巨額の投資を省略できる。
?中小ガス田から大規模なものまで対応可能。なお、本LNGFPSOは現地の立地条件に合せてその全部または一部の設備を水上または陸上に設置するなどの応用も可能で、これによりその利点の全部または一部を生かすこともできる。
3−3. LNGプラント
(1)液化プロセスの種類
LNGFPS0に搭載する天然ガスの液化プロセスとしてはつぎのものが考えられる。
?混合冷媒(MCR)プロセス
例:APCIプロセス
PRICOプロセス
?カスケードプロセス
例:PHILLIPSプロセス
?は混合成分からなる冷媒を用いる方法である。冷媒としては原料ガスにほぼ含まれる成分のガスを使用する。圧縮工程、熱交換工程を簡略化でき、設備費を軽減できるといわれている。
?は、混合冷媒プロセスに使われる冷媒の代わりに高純度の冷媒(プロパン、エチレン、メタン等)を用いて順次原料ガスを冷却、液化する基本的な方法である。熱力学的に簡単で効率がよく、LNG単位あたりの所要動力が最も少ないといわれている。
(2)プラント上の考慮
LNGプラントをバージ上に搭載する場合に陸上プラントと比較して考慮しなければならない点は以下のとおりである。
?インテグレートな設計
機器を浮体上に設置する場合も陸上の場合と基本的には変わらないが安全性、運転性、保全性を十分考慮し、必要な空間をとった上で出来るだけコンパクトな配置とする。
?波浪によるプラントの動揺プラントの設計に際しては、主に波によってバージが動揺することから、バージの動揺特性(傾斜、加速度等)およびその頻度を荒天時、稼働特別に考慮する必要がある。
即ち、蒸留塔および吸収塔、液面制御が必要な容器、熱交換器等が動揺により影響を受けるので、あらかじめ十分な検討が必要である。また、動揺が回転機器、計器に及ぼす影響、さらに機器、構造物の強度へ及ぼす影響、運転・保守時の安全性等への考慮も必要である。
検討の結果、東南アジア海域ではプラントの運転には殆ど支障がないと考えられる。但し、台風、サイクロンのような荒天時には原料の受入れを停止し、蒸留塔、吸収塔等のプラント機器は待機運転状態に移して荒天の回復を待つこととなる可能性がある。
?LNG積出し設備
FPSOからLNG船へのLNG積出しにおいては波による動揺変位を考慮してLNG船係船方式(舷側またはタンデム)およびローデイング装置の計画を行う。
?稼働率
稼働現地の気象・海象条件を基に決定した設計条件により浮体動揺量を推定し、プラント稼働率およびLNG船の係船とローディング可能時間確率から、年聞の稼働日数を求め、LNGプラントの能力を決定する。検討の結果、荒天に起因する不稼働日数は浮体が適当な大きさを有していれば、概ね問題ないと考えられる。
3−4. LNG FPSOの計画
本LNG FPSOはLNGプロジェクトの目的である安価、安定、安全なLNG供給を実現するため沖合(オフショア)海洋構造物、LNGブラント、SPB LNGタンク各技術を総合し、係留浮体の波による連動、LNGの生産・貯蔵、LNG船の係船、LNGの積出し等を総合的に配慮し、全体配置等の最適化を図って計画する。
?プラント能力と稼働日数
LNGプラント能力は計画年間LNG生産量および稼働日数とから決定する。
?プロセスと機器
液化プロセスは混合冷媒、カスケード等いずれの方式でも適用可能であるが浮体上に搭載するので、ガス田ガスの処理プロセスを含めて、波により多少動揺してもLNG生産に支障がないように計画する。
?LNG輸送計画とLNG船
LNG船のタンク容積、航海速力、隻数を計画年間LNG生産・輸送量と稼働日数およびFPSO稼働地(係留現地)・揚荷地間運搬距離から決定する。
?FPSOのLNGおよびコンデンセートタンク容積
FPSOのLNGタンク容積はLNG船のタンク容積をべースとして決定する。随伴重質分としてのコンデンセートのタンク容積は同搬出用タンカーの仕様をべースとして決定する。
?LNG船のFPSOへの係船と積出し装置
LNG船のFPSOへの係船は図6に示すように舷側係船またはタンデム(後方)係船方式とする。積出し装置は舷側係船方式の場合は従来型ローディングアーム方式とする。また、タンデム係船方式の場合はローディングクレーン等を使用する。
?FPSOの係留
沖合洋上に於いては係留外力を最小とする一点係留方式、静穏・浅水域に於いてはチェーン係留、ドルフィン係留方式等とする。

 

 

 

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